私は嫌煙家です。そして、がんを患った事で喫煙に関して述べるべき事はたくさんあります。それはどれほど喫煙が周囲に迷惑をかけているのか主張出来ます。私の主治医からも、なぜタバコが良くないのか、医療での見解と具体的な事を下記の記事・資料でいただきましたので、タバコが与えている害を認識してもらいたいと思います。
----------
【記事及び資料】 ----------
禁煙のススメ
《病院が発行している病院だより から 2004/7/31発行》
今年は例年になく暑い夏となっておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
先日、がん学会への参加のため開院以後3年間の当院耳鼻咽喉科領域におけるがん患者統計を算出しました。その総数は130名で月平均3~4名のがん患者さまが来院されていることになります。1981年以降、日本人の死亡原因1位はがんです。耳鼻科領域に発生するがんの種類には、鼻・副鼻腔がん、口腔・舌がん、咽頭がん、喉頭がん、唾液腺がん(耳下腺・顎下腺)、聴器がん(外耳・中耳など)、甲状腺がんなどがあります。全国統計によると耳鼻科領域のがんは年間約2万人発症し全がんの5%を占め、その頻度は近年上昇傾向にあります。特にロ腔・咽頭がんと甲状腺がんの罹患率*が上昇傾向にあり注意が必要です。注目すべきは甲状腺がんを除く耳鼻科領域のがんは約80%が喫煙者に発生しているということです。一般に非喫煙者を1とした場合のがん死亡危険率は喉頭がんで32.5倍(肺がんでは4.5倍)となっています。喫煙により耳鼻科領域のがんが発生しやすいのです。それでは、なぜ人はたばこによって発がんするのでしょうか?それは、煙に含まれる4000種類の科学物質のうち約40種類が発がん物質であり、これらが正常なDNAと共有結合しDNA付加体を形成することで遺伝子変異を生じさせるためです。具体的には癌抑制遺伝子(健常人では万一発がんした場合でも癌細胞を自殺させることが可能な遺伝子)やDNA修復遺伝子などが変異し本来自己防衛のために働く遺伝子が正常に機能しなくなるのです。このことは多くの研究施殺で証明されています。したがって多くの耳鼻科領域のがんは禁煙することで予防が可能です。がんの低年齢化も懸念され今後は若年層への禁煙指導や子供の受動喫煙(親のたばこを間接的に吸ってしまうこと)の回避が必須と考えられます。禁煙に関して日本は世界に逆行しており2001年ついに世界反たばこ組織よりマルポロマン賞(世界で最も禁煙連動に逆行する団体・政府に贈られる賞)が日本政府に贈られたことをご存知の方も多いと思います。
2003年の日本喫煙人口はJTの調査によれば男性で43.8% 女性で13.6%であり高い喫煙率であるのが現状です。禁煙を考えている方に発がんの危険性の他にもいくつかの医学的データを示します。
1.禁煙した人のアンケート調査によれば禁煙した理由の43.1%は実際にがんを含めた病気にかかったため。
2.アメリカの大規模疫学調査によれば調査対象の半数以上である約800万人にたばこが原因で歯周病が発生。(たばこによる歯肉血流障害が原因)
3.皮膚にとってビタミンCは大切。1本の喫煙で25mg(1日必要量の25%)のビタミンCが消費される。(特に女性では肌あれの原因として重要)
4. 親の喫煙により子供尿からニコチン検出(大阪 小児科グループ)
5.3500人程度の小児を調査したところ親の喫煙(子供の受動喫煙)により子供の虫歯が有意に増加する。
6.心筋梗塞発症のリスクは3.02倍(1日20本以上で4.71倍)
近年、注目されている分野に抗加齢医学があります。生活の質の改善と健康長寿を目指す医学のことで予防医学の範疇にあります。多くの人は100年生存する能力があります。しかしながら細胞内に生じる活性酸素による障害が加齢とともに蓄積され細胞機能が低下し細胞数をも減少させ老化に反映されるものと考えられます。つまり老化しないために重要なことは必要以上の活性酸素を発生させないということです。活性酸素が発生する原因を知る必要がありこれを回避することである程度の老化が防げる可能性があります。発生原因は
1.喫煙・受動喫煙 2.過食・食品添加物摂取 3.ストレス(無いひとはいないと思われますが?) 4.紫外線 5.過度の運動
活性酸素を除去する作用のあるビタミンC・Eを豊富に含む(ピーマン ほうれん草 ブロッコリー かぼちゃ さつま芋)野菜類を摂取することも有効と考えられます。
以上を簡単に要約しますと
1.喫煙されているかたは禁煙して頂く
2.継続可能な軽い運動負荷
3.栄養バランスに注意し睡眠6時間以上の規則正しい生活
などががんの予防しいては長寿につながる可能性があるものと考えられます。
最後に不幸にもがんのために亡くなられた患者さまへ 心よりご冥福をお祈り致します。
*罹患(りかん):病気にかかること
喫煙と耳鼻科領域のがん
《健康だより から 2008/11発行》
先日、勤務先の昭和大学横浜市北部病院で7年間に治療したがん患者統計を発表しました。その総数は408名で、週に1人のがん患者が初診されていることになります。その多くほ、タバコが原因で生じる喉頭がん、口腔・咽頭がんです。
1981年以降、日本人の死亡原因1位はがんであり、全国統計によると耳鼻科領域のがんは年間2万人発症、低年齢化、増加僚向です。
一般にタバコを吸わない人を1とした場合のがんによる死亡危険率は喉頭がんで32.5倍(肺がんで4.5倍)となっています。タバコの煙に含まれる4000種類の化学物質のうち釣40種類が発がん物質です。特にのどのがんは、完治する方は半数のみで毎年多くの方が亡くなられます。
どうしたらのどのがんの発症を予防できるのでしょうか? 答えほ、タバコの煙を吸い込まない、毎日お酒を飲まないこと、です。
タバコの煙は周囲の人々の健康に悪影響を及ぼしますので、自分がタバコを吸わないことに加えて、周囲のタバコ環境(家庭内・職場・友人などによるタバコ煙発生状況)にも注意が必要です。
特に幼少時代に親が喫煙する環境であった場合(私もその一人)には成人してからの肺がん発生の危険性が高くなり、家庭内にタバコの煙が発生するのは非常に危険な環境と言えます。私はその環境を、毒ガス産生工場に住んでいるようなものと話して、直ちにタバコ煙のない生活をするように指導しています。
最近の受動喫煙(自分は喫煙しないが、他人のタバコ煙を吸い込むこと)のデータでは、2秒間の受動喫煙で健康被害が生じると報告されています。具体的には他人のタバコ煙を微量でも吸入することで、肺がんや心筋梗塞、脳卒中にかかりやすくなるのです。
では、どのように禁煙したらよいでしょう? 薬局でほ、禁煙へ導くためのガムや貼り薬を購入できます。
また、上白根病院(毎週金曜午前)では禁煙外来を行っておりますので受診するのも一法です。また、禁煙推進に興味のある方は、日本禁煙学会のホームページを参照してください。
現在、私の所属する耳鼻咽喉科医局長は全員禁煙学会に入会、全ての患者に対して喫煙状況を確認、喫煙者には禁煙支援を行っています。
現在日本の喫煙人口は3000万人弱で非喫煙者は1億人です。この子供を含めた1億人の非喫煙者を受動喫煙の害からどのように守るか?、
3000万人ものタバコを吸わされてしまっている喫煙者(私は被害者だと思っています)をいかに救うか?
公共施設内の全面禁煙やタバコの害を啓発するテレビCMなどが必須と考えられます。私の治療したがん患者が亡くなるたびにこの思いは強くなっております。
門倉 義幸(かどくら よしゆき)
昭和大学横浜市北部病院耳鼻咽喉科所属
専門は頭頸部外科学、甲状腺・上皮小体疾患、睡眠時無呼吸症

日本禁煙学会
お医者さんと禁煙しませんか?
《病院が発行している病院だより から 2011/1/4発行》
厳寒の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
まもなく開院して10年が経過します。私の所属する耳鼻咽喉科では開院時医師3人で診療を行っていましたが、現在は6人の診療体制で様々な病気の治療を行っています。さて、皆さまは耳鼻咽喉科のイメージをどのようにお持ちでしょうか?中耳炎、難聴、副鼻腔炎(ちくのう症)やアレルギー性鼻炎など耳・鼻など生命にかかわらない病気を治す科と誤解していませんか?実際は、がん治療に費やす時間が大部分と言っても過言ではありません。毎週毎週、頭頸部がんと呼ばれるがんを見つけては、その治療を行っています。頭頸部がんとは、頭蓋内(脳)、眼窩*(眼)、皮膚を除く、顔面から頸部に発生するがんのこと示します。現在まで頭頸部がん患者総数は583人で、受診者数は増加傾向にあり、甲状腺がんが117人と最多、喉頭がん87人、口腔がん59人、下咽頭がん59人の順となっています。特にのどのがん(口腔・咽頭がん)が増加しています。手術、放射線、抗がん剤などで治療を行いますが、既に176人の方が亡くなられました。
国内では年間34万人が、がんによって死亡しています。私達2人に1人が、がんを発病し3人に1人が、がんで死亡しているのが現状です。頭頸部がんは全てのがんの5%を占め、毎年約2万人が発病します。医学が進歩しているとはいえ、私が頭頸部がん治療を開始した18年前から完治する確率は全国的に改善していません。全国的にも頭頸部がん(予後良好な甲状腺がんを除く)を発病した方の50%が亡くなられていますので、発病予防が大切です。
さて、頭頸部がんを含めたがんを予防するには、どう生活したらよいでしょうか?ヒントとなる注目すべき論文が2005年Lancet誌に掲載されました。この中で、2001年度の全世界がん死亡者702万人のうち149万人は、喫煙で発がんしたものであったと報告されました。皆さまもタバコと肺癌発病の深い関係はご存知と思いますが、実は喫煙することで、全身の多くのがんが発生しやすくなるのです。最近、国内でも大規模調査が行われ、乳がんの発症と喫煙が深く関与することが報告されました。そこで、私達の専門分野である頭頸部がんを発病した方の生活調査を行いました。(medical
tribune誌 2010)結果は、喫煙する方のみならず、受動喫煙者(自分は喫煙しないが、家族が喫煙する環境)ばかりが、頭頸部がんを発病していました。喉頭がん(声帯に発生するがん)でその割合が最も高く98%でした。
最近、家族と友人にタバコ被害者が多発しました。父(元喫煙者)と従兄弟(喫煙者)が狭心症に罹患、親友(喫煙者)が心筋梗塞で救急搬送、先輩(喫煙者)が肺がんで亡くなられ、改めてタバコ問題に取り組むべきと考えさせられました。タバコ問題の解決には、タバコ煙の有害性(特にニコチンは発癌性、覚せい剤同等の中毒性、血管収縮作用等の最悪の物質であり、周囲に拡散してタバコを吸わない人々にまで悪影響を及ぼす。)に関して正しい知識を共有することが必要です。日本では欧米で普及しているアンチタバコCMなどは実施されておらず、WHOたばこ規制枠組条約(FCTC:Framework
Convention on Tobacco Control)に日本政府が批准したこともあまり知られていません。多くの国が行ったように日本でも条約に沿ったタバコ規制に関する法整備が必要です。FCTC8条の中では、屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所等でのタバコ煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置を積極的に促進するように明記されています。受動喫煙被害は私達の身近に毎日生じる大きな問題と考えられます。
先日、狭心症治療後の父と食事に出かけました。神奈川県は、FCTCの精神に則り、「受動喫煙防止条例」を実施しています。県内の飯食店の入口には完全禁煙か分煙かを表示する義務が生じるはずですが、その店に表示はなく、入口で問い合わせたところ分煙との返事。(分煙?、広辞苑で分煙の意味を調べてみますと、タバコの害が広がるのを少しでも防ぐため、喫煙と禁煙の場所を区分けすること、となっています。既に知っている方も多いと思いますが、分煙による受動喫煙防止効果は皆無です。家庭内も同様、換気扇の下で喫煙する方、換気扇は分煙に有効でしょうか?タバコの煙をカレーの匂いに例えてみれば、すぐに想像できます。高性能な空気清浄機や換気扇を使用したり、部屋を分離しても、カレーの匂いは、相当周囲に拡散します。つまり完全分煙は不可能です。)
そんな危険な場所へ父を入店させることはできませんでした。(タバコ煙で心臓を栄養する動脈は瞬時に狭窄します)
公共施設での禁煙は世界常識となっていますが、海外でも稀に存在する分煙施設には、正直に次のような選択肢が表示されています。1.smoking area(喫煙席)2.second
hand smoking area(受動喫煙席)です。 さて、皆さまはどちらに着席しますか?私達、がん治療を行う医療従事者は、積極的な抗がん治療のみならず一次予防(病気にかからないように予防指導すること)として喫煙・受動喫煙の害に関して、啓蒙活動を継続します。禁煙に興味のある方は、全国の禁煙外来がその窓口です。禁煙学会のホームページから閲覧可能ですので、検索して参考にして下さい。
お医者さん・看護師さんと禁煙しませんか?
*眼窩(がんか):眼球の入っている、頭蓋骨の深い大きなくぼみ
受動喫煙で難聴リスク上昇
〔ロンドン〕喫煙により難聴リスクが上昇することは知られているが,Starkey Laboratories社(米ミネソタ州イーデンプレーリー)のDavid
A.Fabry博士らは「受動喫煙でも難聴になるリスクが高まる」とTobacco Control(2010;オンライン版)に発表した。
非喫煙者3,307例のデータを解析
米国では難聴の罹患率は16.1%で,公衆衛生上大きな問題となっている。多くの先行研究から,喫煙によって難聴リスクが大幅に上昇することが示されている。しかし,これまでに受動喫煙者や,過去に喫煙歴のある者でも難聴リスクがあるか否かについては明らかにされていなかった。
Fabry博士らは今回、全米の代表的サンプルを対象に年1回の身体検査を実施する米国栄養保健調査(NHANES)から1999~2004年のデータを利用した。
そのうち,聴力検査の結果が得られた非喫煙者(20~69歳)3,307例を最終的な分析に含め,コチニンの血中濃度が0.05ng/mLを超えた者を受動喫煙者とした。
また疾患既往歴,騒音曝露のレベル,喫煙歴の有無,喫煙者との同居歴などについての情報も収集した。
聴力検査では,低~中音域(500,1,000,2,000Hz)と高音域(3,000,4,000,6,000,8,000Hz)での聴力を測定し,軽度以上の難聴(25dBを超える)を“難聴あり”と定義した。
過去喫煙者は影響受けやすい
その結果、過去に喫煙歴のある者では低~中音域の難聴有病率14.0%,高音域の難聴有病率46.6%,喫煙歴のない者ではそれぞれ8.6%,26.6%であった。
高齢,男性,糖尿病罹患で高周波の難聴を伴う確率が有意に高かった。また,これらの因子を調整後も,受動喫煙者では低~中音域の難聴リスク〔補正後のオッズ比(AOR);喫煙歴のない者1.14,過去に喫煙歴のある者1.30〕,高音域の難聴リスク(AOR;喫煙歴のない者1.08,過去に喫煙歴のある者1.40)が高いことが分かった。
Fabry博士らは,過去に喫煙歴のある者ではより強い関連が示されたことから,以前喫煙していた者では過去に生じた高周波難聴が受動喫煙によってさらに進行する可能性があるとしている。
その一方で「受動喫煙による聴力への影響が騒音曝露や加齢によって増大するか否かについては今後の研究で確かめる必要がある」と言及。「今回の関連が立証されれば,副流煙曝露に伴う健康被害に難聴も加える必要がある」と述べている。
横浜市のタバコ対策について
受動喫煙のリーフレット一覧を参照してください。
タバコに含まれる放射性物質についての緊急声明
タバコに放射性物質ポロニウムが含まれている事を説明しています。
日本禁煙学会トップページの左メニューより選択してご覧になってください。

日本禁煙学会
----------
【昭和大学横浜市北部病院】 ----------